モッコ感謝の舞 福島県南相馬市で公式事業 相馬野馬追騎馬会と共演
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からの復興をテーマとした東京五輪・パラリンピックの公式文化プログラムが二十九日、福島県南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地で無観客で開かれ、全長約十メートルの操り人形「モッコ」が音楽に合わせて迫力のダンスを披露した。被災地の岩手、宮城両県に次いで開催された。モッコは各地でさまざまな思いを受け取り、ゴールの東京都を目指す。
モッコは数十本のロープで操って手や足を動かす構造になっている。福島県郡山市出身のクリエイティブディレクター箭内道彦さんが監修し、南相馬市の原町二小の児童らがデザインに関わった。髪の毛や胸の材料に会津木綿を使っている。名前は東北弁でお調子者を意味する「おだづもっこ」に由来している。
二十九日は演者ら約二十人がロープを引っ張り、モッコを動かした。相双地方の伝統行事「相馬野馬追」の中ノ郷騎馬会の中島三喜会長ら武者十人が特別出演し、螺役四人が礼螺(れいがい)で花を添えた。
モッコは七月十七日に東京都の新宿御苑で公演し、東北発の旅を終結する。
パフォーマンスに先立ち、内堀雅雄知事が「『震災と原発事故後の応援に対するありがとう』、『逆境を乗り越えるために頑張ろう』、『相手を思いやろう』という三つのメッセージを大きなモッコに託したい」とあいさつし、門馬和夫市長が「祭場地は野馬追の舞台。礼螺でモッコに相馬のもののふの不屈の精神が宿ると期待している」と述べた。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の古宮正章副事務総長らが出席した。