サラダのファストフード店オープン目指す 福島県南相馬市の地域おこし協力隊員、加藤知樹さん

 

門馬市長から委嘱状を受ける加藤さん(左)

 

2023/06/18 18:00

 

 福島県南相馬市に移住して起業を目指す起業型地域おこし協力隊に市内小高区出身の加藤知樹さん(29)が今月着任した。地域農業発展へ貢献を目指し、市産、県産の農産物を使ったサラダを軸にしたファストフード店の立ち上げに取り組む。

 加藤さんは小高工高(現小高産業技術高)を卒業後、県外の総合化学企業に入社した。2016(平成28)年1月からサウジアラビアの会社へ出向、約3年半にわたり海外生活を経験した。さらに海外文化を学びたいとワーキングホリデーを計画して退職したが、新型コロナウイルス感染症の拡大から渡航を断念。市に戻り、海外生活の経験を生かして地元に貢献したいと協力隊を目指した。

 店は2025年ごろのオープンを目指す。メインになるのは多種の野菜を細かく刻んだチョップドサラダ。香草類や紫タマネギ、スパイスを用いるアラビア料理の発想を取り入れて差別化を目指す。珍しい農産物を使用するため、地元農家との関係を築き、生産にも挑戦するという。

 加藤さんは高校2年生の時に東日本大震災を経験した。東京電力福島第1原発事故に伴い、福島市や新潟県への避難を経験。郡山市の小高工高サテライト校に1年通って卒業した。小高区の現状に「回復はしていない。街中に太陽光パネルがたくさん並ぶなど町の様子は変わっている。よりよく、盛り上げられるように貢献したい」と意気込む。

 12日、市役所で委嘱式を行い、門馬和夫市長から委嘱状を受けた。門馬市長は「市の基盤産業である農業、特に園芸作物の復興はこれから。売り先となる店があることがとても大切。思い切って挑戦してほしい」と激励した。加藤さんは「自分はレシピとアイデアを持っているが人脈や野菜の調達はこれから。協力を頂きながら楽しめる店をつくりたい」と話した。

 

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