【復興臨時支局・浪江編】避難指示解除から半年 津島暮らし花で彩る 相馬市から帰還した国分晶子さん

 

浪江町役場津島支所にある国道沿いの花壇を手入れする国分さん

 

2023/09/26 10:16

 

 東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県浪江町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除から今月末で半年となる。津島地区下津島に暮らす国分晶子さん(72)は、道路沿いの花壇に花を植え、地域を彩る。これまでは1人での作業だったが、近所の人が協力してくれることになった。「イルミネーションをやってみよう」とみんなで計画を練る。「私たちが明るく暮らしていれば、戻ってくる人はきっと増えるはず」。帰還者同士で新たな絆を紡ぎ、古里を希望で照らそうと奮闘している。

 

 東日本大震災と原発事故発生時は、仙台市に住んでいた。その後、各地に転居し昨年、相馬市に移り住んだ。浪江町職員の長男から「津島でまた暮らさないか」と誘われ、避難指示が解除された直後の今年4月、町営住宅に引っ越した。

 津島を離れて仙台に行ったのは震災発生の2年ほど前なので、故郷に戻るのは約15年ぶりだ。豊かな自然、澄んだ水と空気に囲まれての生活に改めて喜びを感じた。「人々の営みが津島に復活したことを伝えたい」。帰還してすぐ、町営住宅に隣接する町役場津島支所の花壇を借り、手入れを始めた。マリーゴールドやパンジーなど色とりどりの花を植えた。

 花壇は国道114号に面している。手入れしていると、帰還した住民や今は別の場所に住む地元出身者が声をかけてくれるようになった。道の駅なみえなどを運営する「まちづくりなみえ」からはイルミネーション設置の提案があった。花が咲かない季節の目玉にしようと挑戦を決めた。町営住宅の住民に「一緒にやらない?」と声をかけたら快く応じてくれた。長男を含む6人で準備を進めている。今後、イルミネーションのデザインなどを話し合う予定だ。

 町によると、津島地区の復興拠点に住んでいるのは8月末現在、6世帯7人。住民登録107世帯248人に対し、帰還はわずかしか進んでいない。コミュニティーの再構築が必要となっている。デマンドタクシーの運行で生活の足は確保しているが、一層の利便性向上も必須の課題だ。

 日用品を買える場所は近くにまだない。車で10分ほどの所にあるミニスーパーに行くか、週に1度回ってくる移動販売が頼りだ。町中心部までは車で約30分の道のり。「高齢なので今後が心配。冬は道が凍るし…」と不安も口にする。それでも国分さんは前を向く。「自分が元気でいる限り、花壇の整備を続ける」と意欲的だ。地域に明かりをともし、生き生きと暮らすことが町の再生につながると信じて―。

 

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