画面に表示された指示を頼りに避難する参加者

 

2024/03/04 09:54

 

最適な避難経路が矢印で表示された画面

 

　拡張空間（ＡＲ）技術を活用した避難支援アプリを使った全国初の津波避難訓練は３日、福島県いわき市のイオンモールいわき小名浜周辺で繰り広げられた。

　いわき市が防災分野のデジタルトランスフォーメーション（ＤＸ）の促進につなげようと、東北大や九州大、イオンなどと連携し実施した。地域住民ら約１１０人が参加した。

　参加者は、スマートフォンに映し出される矢印に従い、津波避難ビルのイオンモールいわき小名浜屋上を目指した。行く手に火災やがれきなどを見つけると「報告ボタン」を押して情報を共有することで最新の情報が集まり、アプリからより適切な避難ルートが提示された。

　避難所運営をサポートするＡＩアバター（分身）の対話体験も行われた。参加者が避難所生活を想定し、帰宅可能時期や食事の提供などを質問。アバターから回答やアドバイスを得た。

　参加した小名浜地区の上野台サヱ子さん（７７）は東日本大震災時、自宅周辺まで津波が押し寄せた経験を持つ。「逃げるルートが一目で分かる。迅速に避難できそうだ」と述べた。