記憶、風化させない 東日本大震災、原発事故から13年 福島県追悼復興祈念式に首相が参列

 

いわき市久之浜地区の住民らが追悼と復興を祈念して作った「折り鶴」。黙とうの後でおたきあげが行われた=11日午後2時50分ごろ

 

2024/03/12 10:04

 

追悼の辞を述べる岸田首相(代表撮影)

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で13年となった。福島県内は犠牲者への鎮魂の祈りに包まれた。追悼行事の参列者は複合災害の記憶と教訓を風化させず、「3・11」を直接知らない世代にも語り継ぐ決意を共有した。元日に発生した能登半島地震の被災地にも思いを寄せ、尊い犠牲を無駄にせず、今後も起こりうる災害に備えることを誓い合った。

 

 県主催の追悼復興祈念式は福島市のパルセいいざかで行われ、参列者が地震発生時刻の午後2時46分に合わせて黙とうをささげた。

 高校生による「若者の言葉」では、「相馬高新聞」を発行する相馬高出版局の山本咲妃さん(17)、草野紗羽さん(17)、佐々木明日香さん(17)=いずれも2年=が登壇した。能登半島地震を受け「東日本大震災の経験を伝え続けていくことの大切さをより強く感じている」と述べ、より若い世代に体験や思いを伝承していく重要性が高まっていると説いた。

 遺族を代表し、両親と祖父母を津波で失った浪江町出身の鍋島悠輔さん(20)は能登半島地震の映像について「あの当時の記憶を呼び起こした」と述べ、「普段から防災を意識し、津波が近づいている時は逃げることが大切だ」と訴えた。

 岸田文雄首相は追悼の辞で「震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、能登半島地震をはじめとする自然災害への対応に生かし、災害に強い国づくりを進める」と誓った。内堀雅雄知事は式辞で「福島県の復興は今後も長く険しい道のりが続くが、県民一人一人が思い描く夢や希望に向かって挑戦を続けていくことで必ず道は開ける。私たちは負けない」と強調した。西山尚利県議会議長が追悼の辞をささげた。

 祈念式には45カ国・地域の駐日大使らを含め県内外の招待者約360人が出席した。岸田首相や斎藤健経済産業相、内堀知事らが献花した後、献唱として郡山高合唱部の31人が壇上から歌声を響かせた。福島民報社から芳見弘一社長が列席した。

 節目に合わせ、県民が亡き人を悼む姿が県内各地で見られた。いわき市久之浜地区の防災緑地では、晴れ渡った海岸沿いに住民たちが並び、太平洋に向かって手を合わせた。献花や黙とうに続いて、追悼と復興の願いを込めた「折り鶴」のおたきあげが行われた。

 早朝に昇る朝日や日中の慰霊碑、日没後にともったキャンドルの前。人々は思い思いの場所と方法で弔意を表した。

 

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