【今を生きる】二つの古里に恩返し 姉妹都市交流イベント「架け橋に」 福島県楢葉出身で会津美里町職員の星柚里さん

 

震災の経験を話す星さん。「会津美里町と楢葉町の架け橋になりたい」と仕事に励む

 

2024/03/13 09:59

 

 二つの古里に恩返しがしたい―。福島県楢葉町出身で会津美里町産業振興課商工観光係の星柚里(ゆり)さん(25)は、姉妹都市となっている会津美里町と楢葉町との交流イベントなどを企画し、両町の架け橋になろうと仕事に励んでいる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で会津美里町に避難した際、温かく迎え入れてくれた地域への感謝の気持ちを持ち続けている。

 震災発生時、小学6年生で楢葉町に住んでいた。自宅は半壊し、家族7人は避難を余儀なくされた。いわき市や千葉県への避難を経て中学2年の時、会津美里町に移った。楢葉町職員の母・高木さつきさん(58)と生活し、避難生活を送る町民のために働く姿を見てきた。

 大学進学で上京し、都内で就職活動に励んでいた時、心の中にあったのは二つの古里だった。生まれ育った故郷や友人の顔が浮かんだ。「今度は私が力になりたい」。第2の古里に戻ると決め、2022(令和4)年度に会津美里町職員となった。

 震災と原発事故は多くの悲劇を生んだ。しかし、それがなかったら会津美里町にいることもなかった。「運命だったと思う」と前を向く。名前の由来は楢葉町特産のユズ。「里」の字がある会津美里町にも縁を感じている。昨年8月に同僚と結婚し、新たな一歩を踏み出した。

 今年度、会津美里町民に楢葉町の復興の状況を見てもらうバスツアーを開催した。「これからも住民同士の交流を深める機会をつくっていきたい」と言葉に力を込めた。

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 星さんは12日、町本郷生涯学習センターで開かれた、まちづくりBプラス主催の座談会「3.11が教えてくれたこと」でゲストスピーカーとして登壇した。南相馬市から会津美里町に避難した松本敏江さん(91)、被災者支援に当たった同町の安達忍さんと経験や教訓を話した。

 

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