東日本大震災、原発事故から10年 福島県祈念式 知事、復興へ挑戦継続
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から十一日で十年となった。県民が早朝から各地で犠牲者を弔い、県内は鎮魂の祈りと古里再興への願いに包まれた。県主催の追悼復興祈念式は地震の発生時刻に合わせて福島市のとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)で行われ、参列者が未曽有の複合災害の記憶と教訓を後世に語り継ぎ、県内の復興を一層前進させるとの思いを一つにした。
十回目となった県主催の式典では、将来を担う高校生による誓いの言葉が初めて披露された。楢葉南小一年時に被災した広野町・ふたば未来学園高二年の政井優花さん(17)=楢葉町=が十年を振り返り、「震災をより自分事として捉え、あの日何が起きたかを理解し、向き合うようになった」と語った。
「福島には多くの課題が残っている。大人たちには果たすべき責任が、私たちには未来を担う責任がある」と真摯(しんし)に歩みを進める決意を述べた。
献唱として、福島市の福島大付属小合唱部の四~六年生二十人が「きみの空 きみの虹」「水のうた」を歌い上げた。
内堀雅雄知事は式辞で「復興の光をさらに輝かせ、明るい未来を切り開くため、県民や福島を支えてくださる方々と共に、諦めずに挑戦し続ける」と強調した。
太田光秋県議会議長の追悼の辞に続き、家族四人が津波の犠牲となった南相馬市の田村江久子さん(63)が遺族代表の言葉を述べた。「震災の記憶を決して忘れてはいけない、忘れさせない、災害によって悲しいことが起きないよう、早め早めの避難が大切だと後世に伝える」と誓った。
冒頭で政府主催の追悼式の様子が同時中継され、地震発生時刻の午後二時四十六分に合わせ、一分間黙とうした。内堀知事、太田議長、県市長会副会長の室井照平会津若松市長、県町村会長の佐藤淳一磐梯町長、田村さん、福島県関係国会議員が献花した。
県内の招待者ら約二百二十人が出席した。新型コロナウイルス感染防止対策として参列者を五人にとどめた昨年より大幅に増やしたが、一般参列者の受け入れは見送り、例年の半分程度の人数とした。式典の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信した。
県内各地で追悼行事が催された。広野町では町主催の「被災の祈り」があり、広野中と、ふたば未来学園中・高の生徒ら約三百人が海岸沿いに一列に並んだ。リボンテープの端と端を持ってつながり、地震発生時刻に合わせて黙とうした。