葛尾村に住んでみて@令和

 

私が福島県葛尾村に移り住んだのは、もうすぐ令和の時代が始まる2019年3月末でした。かつての葛尾村の暮らしぶりを残念ながら知らない私ですが、令和の暮らしぶりを紹介します。

■ ファーストネームで呼び合う地域性

知る人ぞ知る話題ですが、葛尾村は「松本さん」がとても多いです。震災前は約6割、現在でも約4割は「松本さん」です。かつて葛尾村役場に電話して「松本課長をお願いします」と伝えると、「どの課長ですか?」と返されたことがありました。実は全ての課長が松本さんだったのです。そんな葛尾村なので、当然住民同士では、ファーストネームで呼ぶことが多くなります。「英徳さん」「民子さん」といった具合です。私も自然とファーストネームで呼ぶことが増え、結果的に親しくなるのが早かったように思います。

■ 仲良くなると貰い物が増える

これは田舎あるあるかもしれません。
葛尾村でも例にもれず、地域の方と仲良くなると、野菜や甘いものなどを定期的に頂きます。持ちつ持たれつの文化が残っています。娘(現在2歳)を育てているのですが、「●●さんが育てたお米だよ」「これは幼稚園で●●ちゃんが育てた野菜だよ」と言って食卓に出てくると喜んで完食します。自宅でも簡単な家庭菜園をしているのですが、食育にはとても良い環境にいると感じています。

■ 子育て支援が手厚い

葛尾村には、みらい子ども助成金という制度があり、児童手当とは別に中学生までの子ども1人につき月2万円を支援してもらえます。給食費、教科書等の学習教材等もかかりません。小中学生は自宅までスクールバスで迎えに来てもらえたり、水泳や学習塾には無料で通わせたりできます。新型コロナウイルスの影響もありますが、例年は2年に1度、中学生全学年でアメリカ修学旅行に行っています。子どもが少ないこともあり、学校の先生と児童生徒がマンツーマンに近い形での授業が多く、子どもの能力に合わせて勉強を教えてくれます。タブレット機器はもちろん、児童生徒1人につき1台です。絵画コンクールで全国上位入賞する生徒が出るなど子どもの数が少ない中でも、それぞれの個性を生かした教育が出来つつあります。

■ 意外と多いコミュニティ

居住人口400人の村ですので正直、人間関係では苦労したり、交流が少なかったりするかもしれないと思いました。しかし住んでみると逆でした。

行政区に加入すると、各行事にお呼ばれします。新型コロナが広がる前の2019年度には、山形県米沢市に日帰りバス旅行に行き、家族でさくらんぼ狩りを楽しみました。毎週金曜日には、かつらおスポーツクラブが体育館を開放するため、地域の方が集って卓球やバドミントン、バレーボールなどに汗を流します。

新型コロナでほとんどなくなってしまっている飲み会ではありますが、現在住んでいる団地には「団地の会」なるものもあり、定期的に飲み会も開催していました。

若手が集う「居酒屋ZICCA」や地域の方に招かれて飲む会などもあります。子育て世代の会である「母ちゃん会」「父ちゃん会」があったり、市町村対抗野球の村代表として参加させてもらったりと、つながりが大変濃い地域だと思います。飲み会が減って体重が落ちると期待していましたが、飲み会の数は減りませんでした(現在は新型コロナの影響で飲み会はほぼありません、残念です)。

■ 温浴施設が無料

地味に嬉しいのが、葛尾村宿泊交流館「みどりの里せせらぎ荘」にあるお風呂に村民は無料で入浴できることです。

もともと温泉をはじめ大浴場が好きな私なので、身体が疲れているときや気持ちをリフレッシュしたい時などに利用しにいきます。利用者が多すぎて芋洗い状態になることもほとんどないので、ゆったりと過ごすことができます。時に一人で独占できた時などは、まるで自分のお風呂かのような錯覚までします。娘も好きで「大きなお風呂に行きたい」とよく言われます。

■ 星空が綺麗

葛尾村に住んでみて分かった、むしろ住むまで気づかなかった一番の良さは星空です。星空にも綺麗な時期とか、綺麗な季節があるって知っていますか。

私も葛尾村に来るまでそんなことは考えもしませんでした。地方都市に住んでいた時期が多かったので、少し乱視が入っている私の目で真夜中に空を見上げて星を眺めてもほとんどまともに見えませんでした。

しかし、葛尾村で星空を眺めて驚きました。こんなに夜空には星があることを初めて知りました。獅子座流星群や双子座流星群などが近づいている時などは夜空を10分ほど眺めていれば、何個かの流れ星を目にすることができるはずです。

私は昨年、朝方午前4時ごろ、玄関のドアを開けた瞬間に3日連続で流れ星を見ました。流れ星を当たり前に見ることができる日常って何か得した気分になりませんか。ちなみに月がない日(新月)は、夜が暗いので星がたくさん見えます。葛尾村に住む前、月見などで満月の日を調べることはありましたが、葛尾村に住んだ後は新月の日を調べるようになりました。

■ 新緑が美しい

春の桜並木や秋の紅葉、冬の雪景色など四季折々の表情を楽しませてくれる葛尾村ですが、特にお薦めなのが淡い緑色の葉が生い茂る5月~6月の新緑の季節です。

太陽が透けるほどのあどけない若葉と木漏れ日の中をロードレーサーで走り抜けると、酸素を欲している肉体にマイナスイオンが隅々まで行き渡るような錯覚になります。特に朝方6時ごろは自動車もほとんど通らないので、鳥のさえずりを聞きながらサイクリングを楽しめます。もちろんウオーキングにもお薦めです。

■ 夏涼しく、冬は激寒….

春~秋にかけては、高原の気候のためとても過ごしやすいです。盆地出身の私にとって夏場は本当に楽です。葛尾村では陽炎を見たことがありません。

しかし、冬の寒さは厳しいです。
雪が降ればその分、温かさもあるはずですが、寒くても大雪があまり降らないため、冷える時はとことん冷えます。一戸建てを買うなら思い切って薪ストーブのご購入を提案します。

■ 葛尾村の胃袋・石井食堂

後に、何と言っても忘れてはいけないのは大盛りで有名な「石井食堂」!!

「安い・多い・うまい」の3拍子そろった名店であり、現在葛尾村唯一の食堂です。夜は居酒屋の顔になり、午後6時までに飲み始めれば、午後8時くらいまでは飲ませてもらえます(午後9時まで飲みたいときは先に許可を取ることをお薦めします)。食べ物で困ったら、とりあえず石井食堂。これで問題解決です。

無いなら無いなりにと思って引っ越してきましたが、都市部在住で人間関係が希薄だった方にとっては葛尾村に移住すると密度の濃い人生を送れるようになるかもしれません。

ただ思うのは、自分から探さないと教えてもらえないことがあるので、その時は葛尾村復興交流館あぜりあまでお越しください。

葛尾村復興交流館あぜりあ

【定休日】
毎週火曜日

【住所】
福島県双葉郡葛尾村大字落合字落合20番地1

【お問い合わせ先】
0240-23-7765
メール:k.muradukuri@katsurao-kosya.or.jp

一般社団法人 葛尾むらづくり公社

投稿者プロフィール

葛尾村が東日本大震災及び原子力災害による長期にわたる避難からの復興に取り組む中、村民が主体的に活躍、交流できる機会や場の提供などを通じて、人と人を「繋ぐ」役割の中核を担い、村民の絆を維持するとともに地域資源を活かして新たなにぎわいと活力を創出し、交流人口の拡大と地域活性化を図ることにより復興と魅力あるむらづくりに寄与することを目的としています。

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