葛尾せきらら白書

 

こんにちは。葛尾村のふるさと記者を務めさせていただいている葛尾むらづくり公社の荒井雅美です。浜さ恋3回目の執筆について、何をテーマに書こうかとても迷いましたが、葛尾に移住してきて肌で感じてきたことを、ありのまま”せきらら”に書かせていただこうと思います。こうした生の声を書くことで、地方に移住することを検討している人がこの記事で葛尾村の空気を感じてもらい、葛尾に移住したあとで「こんなはずじゃなかった」と後悔する人を少しでもなくすことが目的です。

●自己紹介

僕は1975年生まれの45歳。香川県で生まれた僕は、幼少期から家族で東京に移り住んで以来、社会人生活も含めてほぼ東京で生活してきました。福島に移住したのは2015年の10月。東日本大震災の復興支援をするためで、葛尾村のお隣田村市の田村市復興応援隊に入隊しました。都会暮らしが長く、しかも近所づきあいなどほとんどしてこなかった自分にとって、地域コミュニティの輪にうまく入れるか本当に不安でした。しかし僕がお世話になっていた仮設住宅では、むしろ移住者ウェルカムな空気が支配していて僕を受け入れてくれました。

●昔から葛尾に住んでいるほとんどの人は、ここを不便だと感じていない

 僕は自己紹介の通り、ほぼほぼ東京で育ちました。新宿駅から電車を乗り継いで家まで約35分。家から徒歩10分圏内にコンビニエンスストア、スーパーマーケット、鉄道駅、牛丼チェーン、ハンバーガーチェーン店などがあり、それなりに便利だと感じて生活していました。そんな僕は、2020年7月から葛尾に住んでいます。村にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットはなく、飲食店は村に2か所、商店は3か所、鉄道駅が1つもないばかりか、村唯一の路線バスは1日5便しかありません。誰がどう比較しても「葛尾は不便だ」と感じそうなところですが、実は他と比較するから不便と感じられるだけだと僕は気が付きました。車で20~25分走ると町に出られる環境を受け入れさえすれば、葛尾は不便な場所ではなくなるのです。

 現にいま葛尾に住んでいる人たちは、同じような感覚でいるはずです。逆に言うとそういう感覚でないと生活しにくいと思います。欲しいと思ったモノがなかなか手に入れられない場所ではありますが、それが葛尾の魅力のひとつだと僕は思います。

●葛尾には何もない!?

 村民同士の会話で「葛尾には何もない」という言葉を頻繁に耳にします。たいていはネガティブな表現で使われますが、僕は「葛尾には何もない環境がある」というポジティブな表現を使うように心がけています。モノでありふれた現代において、何もない環境こそが何よりの資源であり、葛尾にはそれがあると僕は考えています。

●静かに暮らしたいと思っていても、必ずちゃちゃが入る

 葛尾村内には2020 年12月現在で425人が暮らしています。面積が84.37平方キロなので、人口密度は1平方キロに5人しか住んでいない計算です。5人って2世帯くらいですね。それならきっと静かに暮らせそうだという理由で葛尾に移住してくると、もしかしたらこんなはずじゃなかったと後悔することになるかもしれません。

 静かに暮らしたいと思っても、町内会は切り離せませんし、「ポツンと一軒家」のような住環境でも「あの車は●●さんのだ」から始まり、「あのスーパーで●●さんの車を見た」とか狭いコミュニティならではの弊害が生じやすくなります。移住者なら県外ナンバーである可能性が高く、より目立ちやすくなるとも言えます。こういう田舎ではどうしても一人一人の存在が周りに与える影響が大きくなるので、静かに暮らそうとせずに、村のコミュニティに積極的に参加していく方が、のちのち住みやすくなると思います。

●移住者の知らないところでその人の噂をする

地元の方々が集まって井戸端会議をし始めたら普通に1~2時間くらい終わりません。そこで話す内容は、仲間同士で共通して知っているであろう人のことを話題にすることが多いです。どこそこの娘さんが今度就職したとかです。移住者の話題になると、最近どこどこに誰か引っ越してきたみたいだけど…みたいな話から始まり、●●さんは最近顔を見かけないとか、何をしている人なのか分からないとか。分からないなら本人に聞けばいいような話題だと、だいたい批判的な内容になります。そうなると話をしている人同士で同調せざるをえなくなり、移住者からみたらまったく身に覚えのないことで批判にさらされる恐れが高くなります。

 では葛尾村は移住者が住みにくい場所なのか? 答えは人それぞれですが、地元の方々とある程度の距離感を保って生活していれば、まずは大丈夫だと思います。葛尾村のような里山文化を持つ田舎では、行政区という独自のコミュニティで地域活動が運営されます。葛尾村にも11個の行政区があり、それぞれに区長さんがいてその地域を取りまとめています。なので、葛尾村に移住したときは、当該区の区長さんと近隣の2~3軒に挨拶し、「地域のことは何も分からないから教えてほしい」とか、「自分と同じくらいの年齢層・性別の友達が欲しい」旨を正直にお話しすると、だいたいの人は親切に対応してくれるはずです。

 ちなみに、僕の経験則で言うと、道路脇など公共部の除草やゴミ拾いをすると近隣の方々からの信頼を得やすくなると思います。道路脇なら通過する車両からも見えてパフォーマンスにもなりますし、なによりそれを実行することは、やらない人と比較して大きなアドバンテージになり、信頼度アップにつながるはずです。

●まとめ

何事もさじ加減ひとつで印象は大きく変わってくるとは思いますが、何も分からない移住先で生活のことなどについて相談できる人を1人見つけることができれば、生活の幅が大きく広がってきます。ご近所であれば、野菜や料理をいただけたりするかもしれません。

バラ色の移住生活とまではいかないとは思いますが、都会にはない豊かな暮らしが葛尾にはありますので、地方への移住をご検討の方は、ぜひ葛尾村まで声をかけてください。0240-23-7765 に電話して「葛尾への移住を検討している」と伝えていただけると、親切丁寧に村のことを教えてくれます。村民一同、あなたの移住を心からお待ちしています。

一般社団法人 葛尾むらづくり公社

投稿者プロフィール

葛尾村が東日本大震災及び原子力災害による長期にわたる避難からの復興に取り組む中、村民が主体的に活躍、交流できる機会や場の提供などを通じて、人と人を「繋ぐ」役割の中核を担い、村民の絆を維持するとともに地域資源を活かして新たなにぎわいと活力を創出し、交流人口の拡大と地域活性化を図ることにより復興と魅力あるむらづくりに寄与することを目的としています。

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