【震災・原発事故14年】福島県双葉郡の未来育む場に 学習塾古里富岡で再開へ 川崎葉子さん74 瑞穂さん42

富岡校の再開に向けて準備を進める川崎葉子さん(右)と瑞穂さん
2025/03/13 10:48
学習塾「川崎学院」理事長川崎葉子さん(74)と長女瑞穂さん(42)は、双葉郡で14年ぶりに学習塾を再開する。古里・富岡町に31日、富岡校を開く。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生前は双葉町に本校を構え、郡内各地で塾とカルチャー教室を展開していた。富岡は約50年前に塾を始めた〝出発の地〟。復興を教育面で後押ししようと決断した。教え子らの応援を得ながら準備を進めている。「未来を支える子どもたちを育む場にしたい」。親子二人三脚で夢の実現を目指す。
■親子二人三脚、教育後押し
富岡校は町内小浜に開設する。小、中、高校の全教科を個別、講義形式で指導する。双葉郡は避難指示の解除が進むにつれ児童・生徒数が増加傾向にある。富岡町によると、震災前は町内に複数の学習塾があったが現在は個別指導の1カ所のみ。学校外での学習支援の場の創出が教育環境の充実に向けて課題となっていた。
葉子さんは早稲田大卒業後、富岡町夜の森で学習塾を始めた。結婚後の1991(平成3)年、双葉町に川崎学院を創設。郡内各地に学習塾を開いた他、「文化の芽を育てたい」とカルチャー教室を設けた。震災発生直前には塾とカルチャー教室のそれぞれに40人ほどが通っていたという。
震災と原発事故が襲ったのは学院開設から20年後だった。休校を余儀なくされ、葉子さんは福井県に避難した。双葉町の学院本校と自宅は第1原発から約3キロ。「もう双葉には戻れないだろう」と現実を受け止めた。しかし、教育と文化振興への情熱は消えず、2013年、いわき市で川崎学院を再始動。双葉町の本校と自宅は中間貯蔵施設の敷地内となり取り壊されたが、前向きにいわき市で子どもらの指導に当たってきた。
双葉郡内での再開は昨年6月に決心した。「地元の子どもたちのために」との思いが募った。児童・生徒数は震災前と比べるとずっと少ない。それでも親子で話し合って決めた。再開に向け町内をあいさつして歩いていると、「川崎先生!」と教え子に声をかけられた。みな立派に成長し、復興の担い手になっていた。物件探しや改装などで協力してくれ、頼もしく思った。学力向上や生きる力の育成に尽くさなければとの気持ちが一層高まった。
2月から試行的に開校し、小学生と高校生の2人が通っている。瑞穂さんが校長を務める。将来的には茶道やマナー講座など多様な学びを提供するカルチャー部門の再開も目指す。葉子さんは「新たな一歩。古里に迎えられ万感の思い」と喜びをかみしめる。瑞穂さんは「交流を生む場所にしたい。富岡を支える子どもたちの力になる」と誓っている。
■火・木曜に開校
川崎学院富岡校は火・木曜に開校する。マンツーマンの個別コースは面談して内容を決める。問い合わせは校長の川崎瑞穂さんへ。