『また帰りたい場所』、農家民宿いちばん星

 

福島県南相馬市の原町区にある、一軒の素敵な農家民宿、いちばん星。

南相馬の滞在がきっと特別な思い出になる、そんな宿をご紹介。

震災のボランティア受け入れを機に農家民宿としてオープン

ここ農家民宿いちばん星は、元々市役所で勤務をしていた星さんが2012年にオープンをした。

震災後、全国各地から集まったボランティア。宿泊場所が確保できず困っていた人も多かった。

車中泊をする車で溢れかえる道の駅の駐車場を目の当たりにした星さんは、ボランティアのためのボランティアとして、自宅を宿泊場所として受け入れていた。

2012年、市役所を退職し、一般社団法人いちばん星南相馬プロジェクトを立ち上げ、正式に民宿として開業した。

築約150年の古民家を改築

大きく立派な梁が通るお宅は、築150年ほどだそう。趣ある和室は古民家好きにはたまらない。

正面玄関の視線の先には、南相馬の伝統、野馬追祭りで着る甲冑が2つ飾られている。

赤色の旗は、星さんのお父様が野馬追祭りの神旗争奪戦で得た旗だ。

メインとなるお宅には和室が3室あり、すぐ隣には離れもある。

離れは3室。2段ベッドが入っている部屋もあり、家族や親族、友達、大人数で遊びに来れる広さだ。

“密”を気にしがちなこの時期に、離れは嬉しいお部屋である。

ボランティアの方々の、そして地元の人々の疲れを癒す大浴場

農家民宿いちばん星には、民宿とは思えないほど立派な大浴場がある。

疲れて帰ってきたボランティアの方たちが気持ちよくシャワーを浴びて、温かいお湯につかれるようにと、退職金を叩いて建てたのだ。

ボランティアの方たちだけでなく、地元の人も利用できるようにと、公衆浴場の許可も取った。

私が泊まった時も、お風呂に来ていた地元の人がいて「毎日来てるんだ」と嬉しそうに教えてくれた。

宿泊客だけが利用できる時間もきちんと設けられているのも、嬉しい心遣いだった。

世界一贅沢なご飯

実は、筆者である私は、7年前にボランティアで南相馬に来た時にも、このいちばん星に宿泊していた。

地元の食材をふんだんに使った、小鉢が並ぶ食事が本当に美味しく、心から感動したのがずっと忘れなかった。

旬の野菜である、あさつきの味噌和えや、かぼちゃと小豆のいとこ煮など家庭料理に、お刺身に煮しめに、あん肝の味噌漬け。

今回も、お盆に載りきらないほどの料理が机に並んだ。

7年前の感動が、瞬く間に蘇る。

朝食もまた贅沢に13品目もの小鉢が出て、どれも美味しくすべて食べてしまう。

朝からご飯をおかわり。お腹いっぱい。

こんなにたくさんの種類の手料理をいただいて、幸せすぎる一日の始まりだ。

子どもも楽しめるいちばん星牧場

いちばん星の敷地内には、アルパカとヤクシカ、ヤギ、ウサギがいるミニ牧場もある。

2頭のアルパカは、2014年に新潟県長岡市にある山古志アルパカ村からやってきた。

朝は敷地内を散歩する様子が見られたり、餌やりしたりもできる。

その向かいには、2017年にオープンした里山カフェがある。

いまはコロナの影響で営業時間も短縮しているようだが、小さなライブイベント、パーティーもでき、その隣にある改築した蔵では展示会なども行い、地元の人も集まる場所となっている。

車での周辺散策も楽しい

車で泊まりに来た人は、ぜひ近くを回ってみてほしい。

原ノ町駅周辺だけでなく、紅葉と寒桜の名所として有名な宝蔵寺や、みそ漬け処香の蔵など見どころもたくさん。

海まで1.5kmの場所に位置し、太平洋から上がる日の出を見るのも最高だろう。

時間があれば、小高や相馬のほうまで足を運ぶこともできる。

地域の拠点となる農家民宿

今回も変わらぬ温かさで出迎えてくれた星さんたち。

コロナ禍での経営には難しい面も感じているようだが、地元の野菜を販売する場所を作ったり、まだまだ新たに取り組みたいこともあるそうだ。

7年前に泊まった時は、大浴場もミニ牧場も、里山カフェも蔵もオープンしていなかった。

一つ一つ施設が増えていき、外から泊まりに来た人も、地元の人もより楽しめる場所になっていった。

私自身、何の所縁もなかった福島の南相馬に、また帰ってきたいと想える場所ができたことが何より嬉しい。

そしてきっと多くの人の『また帰りたい場所』として、これまでも、これからも在るのだろうと思う。

また世界一贅沢なご飯を食べに、遊びに来よう。

■農家民宿いちばん星

住所:福島県南相馬市原町区金沢字追合116番地

TEL:0244-26-9461

FAX:0244-26-9462

メール:stars@ichibanboshi-minamisoma.org

定休日:要確認

WEBサイト:http://www.ichibanboshi-minamisoma.org/noukaminsyuku/index.html

アクセス:常磐線原ノ町駅から送迎あり

鈴木俊良トラベルライター

投稿者プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。学生の頃から国内外を旅して歩き、現在はミャンマーを拠点に旅づくりのお仕事を行う。 何気ない日常の中に存在する豊かな暮らしや文化を感じることが好き。

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