【富岡町の魅力発信!とみおかアンバサダー (後半)】

 

前半のストーリー

・とみおかアンバサダーとは、首都圏や富岡町外、いわゆるソトモノの視点で、富岡町や富岡町民の魅力、想いを発信。また富岡町産米を使用した日本酒の新銘柄を考えたりすることを目的としている。主催は富岡町のまちづくり会社・一般社団法人とみおかプラス。

・とみおかアンバサダー初の視察では、えびす講市や東京電力廃炉資料館等を巡った・

・富岡町産米スパークリングsake萌-Kizashi-のラベル“ツツジ”は富岡町のシンボル。萌にはツツジの復活、富岡の復興への想いが込められている。 

など

富岡町から生まれた「萌-KIZASHI-」の“米”に込められた想い

▲スパークリングsake「萌-KIZASHI-」

昨年2020年3月11日、震災から9年となるこの日、待ちに待った「萌-KIZASHI-」の発売がいよいよ始まった。

最初はとみおかプラスやJR富岡駅前のさくらステーションKINONEなど富岡町内で販売された。これは町内で愛される日本酒になって欲しいという想いと、富岡町に来たからこそ購入出来る特別感を出す為でもある。

一方でとみおかアンバサダ―としては、福島県外にも「萌-KIZASHI-」の存在を知ってもらい、富岡町に興味をもってもらうきっかけもつくりたい。そこでこの日、私は都内のラジオ局に来ていた。この日の放送番組の内容が震災にフォーカスしていたこともあり、出演の機会をもらったのだ。震災から9年が経ち、町の現在の様子や新しい取り組みなどを話す中で、萌を紹介させてもらい、実際にパーソナリティーの皆さんに味見をしてもらった。萌は、デザート酒としても味わえるくらい甘口で飲みやすい。スパークリングの爽やかさと、お米の甘味を感じてもらえ「美味しい」と好評だった。

▲スパークリングsake「萌-KIZASHI-」 ラジオ番組内で紹介

その萌を生んでいるのが、富岡町で生産されたお米である。 

そのお米を作っているのは、富岡町で5代続く米農家を営む渡辺伸さんだ。震災後、富岡町の農地は全町避難により手つかずの状態が続き荒れ、また放射能汚染により再開させるためには農地の除染を行わなくてはならなかった。渡辺さんは、「先代から続けてきた農業をつなげていきたい」という想いから、土を入れ替え耕し2年半かけ2017年に農業を再開。通常の水稲作付けは翌年2018年から出来るようになった。

さらには、富岡町は農業の復興を加速させるため、東京農工大学と連携協定も結び、全国に先駆けて新しい取り組みも始めている。人出不足などの富岡町の農家が抱える様々な課題を解決する為に人口知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を活用して、遠隔システムで水田を管理するなどの技術を取り入れているのだ。

その新しい取り組みから生まれたのが、萌の原料となっている米である。そして、二本松市の人気酒造株式会社の協力によりスパークリングsake「萌-KIZASHI-」として誕生した。この日本酒は多くの人々の協力により実現され、そして富岡町の農業の復興への願いも込められているのだ。

このように2019年のお米は2020年度の萌に使用され、無事発売することが出来た。

評判も良く2021年度も発売が決まり、その為の米の収穫作業を昨年2020年10月にとみおかアンバサダーとして手伝うことになった。

昨年はコロナ禍の影響もあり、富岡町に訪れるのは半年ぶりくらいとなっていた。その際もマスクの着用や手の消毒など感染防止対策を万全に行いながら作業を行った。渡辺さんがコンバインで刈り取った稲を、私たちが抱きかかえ温室に運び、乾燥させる為に組み立てた木材に稲を吊るしていく。稲は束にすると結構な重さがあるのだが、その重さも心地よいと思えたのは、久しぶりに草や土の香りを嗅ぎ、雲一つない気持ちよい天候の中行ったこともあると思う。

▲刈った稲を運ぶ様子(とみおかプラスホームページより)

また、手で押す稲刈り機で稲を刈る初体験も行った。水を含んだ田んぼは足元も不安定で、機械も重く、なかなかまっすぐ進まない。後で撮影してもらった映像を見て、へっぴり腰の自分に笑ってしまった。しかし、稲をすんなりと刈り取れた瞬間は気持ちよく少しクセになりそうな時間でもあった。

また、この日は収穫作業の他にも電動のこぎりで木を切ったり、薪を割ったりと自然に思う存分触れ合い、普段の生活では体験できない時間を過ごすことが出来た。そして、昼食は渡辺さんが育てた米や里芋で作ったおにぎりや芋煮を参加者全員で味わい、その土地で採れたものをその場で調理し仲間と食べるという贅沢な時間を過ごした。

このように富岡や福島の魅力を心や体で感じられたこと、想いを持つ仲間に出会えたこともとみおかアンバサダーとして活動する中で得られたことだと思う。

▲とみおかアンバサダーや富岡町民の皆さんたちと(とみおかプラスホームページより)

2021年度版スパークリングsake「萌-KIZASHI-」の発売 DRYも!

私たちとみおかアンバサダーも収穫を手伝った2021年度版スパークリングsake「萌-KIZASHI-」はとみおかプラスや富岡駅前さくらステーションKINONE、ローソン富岡小浜店・上手岡店、ヨークベニマル富岡店などの富岡町内の販売店をはじめ、福島駅前の福島県観光物産館で発売されている。

日本酒は同じ銘柄でも発酵の関係により毎年味が少し異なる。萌も2020年度版と2021年度版の味に違いがあった。甘口でスパークリングの爽やかさはどちらももちろん同じだが、2021年度の萌のほうが少しだけ酸味が強いように感じられた。味の好みはそれぞれなので、飲み比べてみるのも面白いかもしれない。

また、今年は萌の甘くないバージョン「萌-KIZASHI-DRY」も発売している。もともと萌は日本酒の苦手な方にも飲みやすいように甘口で作られているが、生粋の日本酒好きな人にも楽しんでもらえるようDRYはキリッと辛口だ。

どちらも飲みやすく、ぐいぐい進むスパークリングsake「萌-KIZASHI- 」とスパークリングsake「萌-KIZASHI-DRY」をぜひ試してみて欲しい。

▲「萌-KIZASHI- 」&「萌-KIZASHI-DRY」

来月で震災から10年をむかえる。

10年の間に富岡町ではこのように町の資源を活用した新しい取り組みが始まっている。これからもとみおかアンバサダーとして、町の魅力を発信し、興味・関心を持つきっかけを作っていきたい。

記事作成:2021年2月22日

佐々木 瞳トラベルライター

投稿者プロフィール

地域のキラキラを伝えたい 日本酒ナビゲーター 福島県とみおかアンバサダー 文化放送 ・SAKIDORI レポーター 金15時半〜 ・サンデーNEWSスクランブル パーソナリティ 日17時50分〜 東京MX東京ホンマもん教室 MC 日19時〜

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る