様々な縁がつながってできたcafe Amazon日本第一号店

 

世界的に有名なカフェの日本第一号店が、なんと“川内村”にあることをご存知だろうか?

長閑な川内村の中心地に入ると、一際おしゃれな建物が出現する。

この“cafe Amazon”は元々はタイに本社があるカフェで、タイを中心にカンボジア、ラオス、ミャンマーなど10ヵ国以上に進出している。

現在日本にはこの川内村店とJヴィレッジ店の2軒のみとなっている。

日本第一号店が川内村にできた理由

なぜそんな世界的に有名なカフェが、それまではカフェが全くなかった川内村にできたのだろうか。

取材を進めるうちに、様々なご縁がつながった末の出店だったことがわかった。

まずは、2011年の東日本大震災が一つの大きなきっかけとなった。

有田焼400年の伝統技術から応用して“蓄光磁器”という、無電力で発光する磁器を世界で初めて開発し成功した会社「コドモエナジー株式会社」が大阪にある。

この会社は、2012年に「ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞している。

もともとは、大きな工場などはもたずに、九州の小さな有田焼の工房でだけ蓄光磁器を生産していた。

しかし、生産数をもっと増やしたいとなったときに自社工場を建てる決断に至った。

そこで川内村に白羽の矢が立った。

大阪の社長がなぜ川内村へ?と疑問に思う方もいるだろう。

そこで、東日本大震災の影響が出てくる。震災後ということで、新しく工場も誘致されていた時期だったこともあり、岩本社長は工場を建てる場所の候補地として福島県も視察した。そして、2012年春、川内村を訪れた。その時に川内村の“人々の温かさ”に触れ、ここで工場を作ろうと決意したそうだ。大阪の会社の社長が何のゆかりもない東北の村に、工場を建てることを決断できるほど、川内村の人々の温かさが社長の心を動かしたのだ。その事実に驚くと共に、そんな村が故郷福島県にあることを誇らしくも思った。

お店の看板にも“蓄光磁器”が使用されいてる。

岩本社長がつなげたタイとの縁

2016年に川内村の工場ができると、岩本社長は仕事で知り合ったタイのcafe Amazonの社長を川内村へ招待した。当時、岩本社長は個人的に川内村にある古民家を空き家として所有していた。家具や内装などにもこだわり自分で手作りで作っていたそうだ。たまたま、その空き家へもcafe Amazonの社長を招待した。すると、その社長に「ここはこれからどうしようと思っている?」「カフェやりませんか?」と提案されたのだ。

そこから話はトントン拍子で進み、早速タイのcafe Amazon本社の社員たちがその一軒家に視察にきた。ただ、社員たちの最初の反応はあまり肯定的ではなかったそうだ。

まずは立地について。こんな田舎の村に出店しても採算が取れない。とのことだった。

ただ、cafe Amazon側としても、いずれは日本でも出店したいと考えていたため、どうにか川内村での第一号店を成功させたい思いはあったようだ。

そこで開店までに、まずは日本全国のカフェを視察して回ることにした。日本人に好まれるコーヒーの味、カフェの形態、メニューの種類、様々なことをタイ人の社員と一緒に研究し、日本での独自のフードメニューも考えた。

また、お店の外装の関しては、当初は白塗りの壁だったので、木の温もりをもっと感じられるようにするために現在の特徴的な外壁になったようだ。

そんな過程を経て、2017年11月ついに川内村にcafe Amazon第一号店がオープンした。

お店の開店式典にはcafe Amazonの社長もタイから駆けつけてくれて、盛大なオープニングセレモニーとなった。

おしゃれで、人の温もりを感じられる店内

さて、そんなcafe Amazon川内村店の店内は、外装の雰囲気を壊さない木の温もりを感じられる素敵な空間となっている。

私が一番驚いたのは、店内にある素敵なウッドテーブルが、何と岩本社長の手作りのテーブルだということだ。元々岩本社長が空き家の時に作ったテーブルを、なるべくそのまま使っているとのこと。まさに、手作りの人の温もりを感じられるお店になっている。

店の奥には、個室のようなソファースペースもある。

また、店内では入り口で靴をルームシューズに履き替える仕組みとなっていて、まるで素敵なお家に招待された気分で広々とした空間で寛げるのも魅力の一つ。

オススメメニュー

ドリンクメニュー

コーヒー豆は全てタイ産の物を使用。他の材料に関しては、なるべく日本の材料を使うように改良している。

オリジナルコーヒー「AMAZON」が1番のオススメドリンク。

フードメニュー

タイ本店にはない、フードメニューを川内村店では独自で開発して提供している。

特に「AMAZONカレー」は川内村の野菜も使っていて、1番のオススメフード。

日本の田舎では中々食べられない、「グリーンカレー」や「ガパオライス」が食べられるのも魅力の一つ。

デザート

川内村の隣町“都路町”で有名な“都路産の卵”を使った「ゆいプリン」が1番のオススメスイーツ。

私も実際に口にしたが、濃厚な卵の風味が口いっぱいに広がり、まるでカスタードクリームをそのままいただいているような贅沢な味わいだった。カラメルソースが別添えで、自分の好みの量を調整しながら入れることができるのも嬉しい。

都路小学校の子どもたちが考案した都路キュウリジャムも販売されていて、地域と繋がるカフェであることを実感した。

これからの課題

様々な縁が繋がってできたcafe Amazon。開店から4年が経つこともあり、開店当初物珍しさで来ていた方も減り、さらにコロナ禍の影響もあり平日は客足が遠のいているそうだ。地元の方はもちろん、県外の方にももっとcafe Amazonを知って欲しい。そしてcafe Amazonだけでなく、若い人たちが新しい取り組みやお店を始めていることを今回の取材で知り、ぜひもっと多くの方に川内村へ足を運んで欲しいと感じた。

川内村にある、人の縁や木の温もりを感じられるおしゃれなカフェであなたもホッと一息つきませんか?

『cafe Amazon 川内村店』

アクセス

住所:〒979-1201 福島県双葉郡川内村大字上川内字町分102

TEL:0240-23-5665

車:

磐越道・あぶくま高原道路「小野IC」→ 県道36号小野富岡線で約40分

常磐道「常磐富岡IC」→ 県道36号小野富岡線で約20分

cafe Amazon 川内村 Google map 

https://goo.gl/maps/QrW2rHF3F8YeHi9m9

鈴木 真里トラベルライター

投稿者プロフィール

福島県いわき市出身。現在までに、国内では東北・北陸・関東・関西に、国外ではシンガポール、ミャンマーでの在住経験がある。 その経験を生かし、様々な視点からその土地の魅力を発信するよう努めている。 動画の企画・撮影・編集を自ら行い、YouTubeへの動画投稿も行っている。

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