村の幸を味わう、いわなの郷@川内村

 

いわき市街からまっ直ぐ北に約1時間、少し山が開けたところに広がる双葉郡川内村。

移住者への支援も手厚く、豊かな自然が魅力的なこの町の名所の一つ、いわなの郷にお邪魔した。

30年近く前から動き出した町おこしのエンジン

今回お邪魔したいわなの郷がオープンしたの1993年。

川内村の魅力を外に伝え、観光客に来てもらうためのアイディアを考えた結果、古くから川内村の千翁川に生息する岩魚を川内村の名物にしようと、1993年からいわなの郷の計画が始まり、1995年に村営の施設としてスタートしたそうだ。

現在は、株式会社あぶくま川内が運営をしており、かわうちの湯とともに川内村を代表する観光スポットになっている。

絶品のいわな料理が楽しめる幻魚亭

いわなの郷の代表施設が、レストラン幻魚亭。

施設内で卵の孵化から完全養殖されている岩魚を使った多様なメニューが並ぶ。

といえば塩焼き。定食でも、塩焼き単品でもいただくことができる。

ふっくらと柔らかく、臭みも全くなく美味しかった。定食は、小鉢にお味噌汁、そして岩魚の甘露煮までついてとてもお得。

いわな重と岩魚唐揚げも看板メニューだそうだ。

いわな重は、いわば、いわなの天重。これがまた絶品だった。

初めて食べたが、身がとにかく柔らかく、サクッと歯ごたえある衣に、ふんわり、ほわっとした岩魚の食感が後からやってくる。そして甘めのタレが絶妙にマッチしている。美味。

そして岩魚の天ぷらの横に座ったしいたけの天ぷら、これもまた美味だった。川内村はしいたけも有名のようだ。

岩魚唐揚も、塩味がきいており、思わずお酒が飲みたくなってしまう美味しさであった。

幻魚亭では、3~8月の季節限定で岩魚刺身を提供している。今回は季節外れでいただくことはできなかったが、こちらも食べてみたい一品であった。

他にもそばやうどんも提供しており、毎月第一日曜には、バングラデシュ人のシェフ、ハクさんが作るハクさんカレーも人気を呼んでいるそうだ。

ちなみにここいわなの郷は、岩魚の釣り堀施設にもなっており、冬季休業期間(12月~3月中旬)以外は、釣った岩魚をその場で塩焼きにしてもらうこともできる。

釣り竿もレンタルができ、気軽に屋外で楽しめることから、10、11月は多くのお客さんで賑わっていたそうだ。

家族、友人で楽しめるコテージ

いわなの郷には、一棟貸し切りで気を使うことなく楽しむことができるコテージが5棟ある。

基本タイプは、5人用で1家族または友達と泊まるのにちょうどいいサイズ。

10人用コテージは2,3家族で楽しむことができるサイズ。

最新の設備というわけではないが、古民家のような雰囲気もあり、別荘感覚で楽しめる施設だ。

このコテージの魅力は3つ。

一つ目は、囲炉裏があること。釣ったばかりの岩魚を、囲炉裏で塩焼きにして、食す。なんと贅沢。

二つ目は、素敵なテラス。豊かな自然の中に建つコテージの陽の光が注ぎ込むテラス。ここで飲む朝のコーヒー、昼下がりのビールは絶対うまい。

三つ目は、お得であること。宿泊料金が驚くほど安い。大人5人で泊まったら、一人4000円。安い。

コテージは、バリアフリー対応した棟も1棟あり、車椅子の方も難なく宿泊することができる。

いわなの郷では他にも、バーベキューを楽しむこともできるし、最近はキャンプスペースでソロキャンプをする人たちも多いそう。

地元の野菜が手に入る あれ・これ市場

いわなの郷から車で5分。川内村の街中心部にあれ・これ市場というお店がある。

名前の通り、あれもこれも揃うお店で、道の駅とコンビニをミックスしたような場所だ。

川内高原野菜コーナーが充実しており、地元で採れた野菜を購入することができる。

しいたけに白菜、お米も漬物も川内村産。いわなの郷のコテージに泊まったら、ここで野菜を買って調理するなんてのも最高。

お肉類やお惣菜も少しばかり販売されているのも嬉しい。

思わず手に取りたくなる土産物

あれ・これ市場では、村の特産品を生かしたお洒落なお土産もたくさん揃っている。

中でもいわなの郷で完全養殖された岩魚を加工した商品がとても魅力的。

特に「いわなのアヒージョ」と「スモークいわな」が人気という。

いわなの郷や複合商業施設のYO-TASHIでも販売されており、お土産としてだけでなく、野菜と一緒に購入しコテージに持っていき、白ワインと味わうもよし、川内村のお米で作られた日本酒と味わうもよし。

さらには、川内村産の蕎麦を使用した蕎麦ビールなんてのもある。

あれ・これ市場の隣には、かわせみの湯がある。日帰り温泉としての利用も可能なので、コテージに泊る人は買い物ついでに温泉につかっていくこともできる。

近くにはお洒落なパン屋さん、BAKERY RIVIERもある。コテージに泊ったら、ここのパンで決まりでしょう。

川内村は人口約2000人の小さな村。でも、何でもあるすごい村だ。

期待がかかる399号線

何でもある川内村。とっても魅力的な場所に思えたが、ネックはやはり交通の便が悪いことだとか。

どの方面から行くかにもよるが、いわき・水戸方面から行くのであれば、常磐自動車を利用し、常磐富岡ICから県道36号線で行くのが、個人的に一番運転が楽なように感じた。

Google mapなどでは、いわき市街から北上し、国道399号線や287号線を通るルートも出てくるが、399号線はなかなかのクネクネ道との噂で、287号線は2019年の台風19号の影響で2020年1月現在も通行止めになっており、さらに迂回していかなければならない。

そんな中、399号線の工事が進んでいる。

2.7kmと768mのトンネルが通り、これまでいわき市街地まで1時間強かかっていたのが45分前後で行けるようになるという。

完成まではまだ2年ほどかかるそうだが、川内村の人たちの生活も便利になり、観光客にとっても行きやすくなる。

山道を越えてたどり着くのも味わいあるが、行きやすくなることは単純に嬉しいことだ。

今度行くときは、開通した399号線を通って、改良工事に至るまでのストーリーに想いを馳せながら向かうのも悪くない。

いわなの郷

住所:福島県双葉郡川内村上川内炭焼場516

開館時間:11時から16時まで(レストラン幻魚亭)

定休日:毎週水曜日

WEBサイト:http://www.abukumakawauchi.com/

鈴木俊良トラベルライター

投稿者プロフィール

神奈川県横浜市生まれ。学生の頃から国内外を旅して歩き、現在はミャンマーを拠点に旅づくりのお仕事を行う。 何気ない日常の中に存在する豊かな暮らしや文化を感じることが好き。

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