レトロなデザインにときめく、小名浜の「新よね旅館」

 

昭和生まれの私は、懐かしいデザインに出会うと心がときめきます。幼少期によく訪れた祖母の家を思い出させてくれるからです。

亡き祖母が住んでいた家の今には、こたつと食器棚とテレビがあり、いつもちょっとしたお菓子とお茶を楽しみながら、沢山おしゃべりをしました。

私が住んでいる東京の街は、毎日のように新しいものに塗り替えられています。懐かしい気持ちにさせてくれる場所が消え、大型の商業施設や飲食店が生まれていく。
そんな姿を、いつも少し寂しい気持ちで眺めているのです。

今回訪れた、福島県のいわき市小名浜エリア。

いわき市の観光では外せない観光スポットです。スパリゾートハワイアンズや、東北最大級の水族館であるアクアマリンいわき市石炭・化石館などがあります。自然を感じる場所も沢山。塩屋埼灯台は、薄磯海岸の海抜73メートルの断崖に立つ灯台で、行き交う船の安全を守っています。

港町であるこの小名浜エリアには、街全体に昔を真空パックしたような空気がまだ残っていて、私の心をときめかせてくれるのです。

今回紹介する、「新よね旅館」もそのひとつ。
当時のまま、沢山のレトロなデザインが詰まっていました。

新よね旅館の入口は、モスグリーンのタイトルとともに、水色の屋根が迎えてくれます。
入り口に掲げられているのは「新よね」フォント。手描き文字のタイポグラフィです。

今では当たり前の、パソコンでのデザインも、当時は全て手書き。テレビ、雑誌、ポスター、街にある看板など、ほとんどの書体は手で描かれていました。職人たちがタイポグラフィをデザインしている仕事を想像しながら宿に入ります。

出迎えてくれる待合室。ソファの曲線や色合いに懐かしさを感じます。

待合室の仕切りガラスには可愛い魚たちの模様が。

ふと、玄関のほうに目を向けると、ガラスごしにやわらかい光が入っていて、玄関のタイルを照らしていました。

調べてみると、昭和初期頃までのガラスは、手吹きで作っていたために少し歪みがあるそう。日本国内のガラスの製造技術の向上によって、歪まないガラスが誕生し、今ではそのようなガラスはほとんど見かけません。

宿の部屋は日本庭園をぐるっと囲むようにつくられていて、ガラス越しの庭園を楽しみにながらお部屋まで行きました。

今ではあまり見かけなくなったガラスタイルや、

懐かしい模様が施されたガラスがたくさん。

このような模様のあるガラスは、昭和型板ガラスといって昭和初期にとても人気があったそう。おばあちゃん家の食器棚もこういうガラスだったなぁと思い出させてくれます。

私たちが泊まったのは17号室。ドアはレトロな木目調。

部屋の入口の床には、レトロなモザイクタイルでした。

チェックインを済ませたあとは、夕食を食べに宿の近くの鳥料理「ちゃぼ」へ。

地元の方々で賑わう店内。きじ重、とりさし、焼き鳥に、サラダやお味噌汁、デザートまでついた豪華な「ちゃぼ定食」を注文。

甘いたれに、ごはんと鶏肉がからまって美味しい。鳥刺しも、やわらかくて新鮮でした。

宿に戻ってからは、ちりめん模様の浴衣に着替えて、お風呂へ。

お風呂に行く途中に、突然現れた漫画コーナー。
宿で友達をゆっくりおしゃべりをしながら、漫画を読む。中学生や高校生の頃みたいだけど、何歳になっても楽しいですよね。

近づいてみると漫画のセレクトが最高!

魔法陣グルグル、ベイビィ☆LOVE、ミントな僕ら…!

そのほかにも、北斗の拳、21世紀少年、ドラえもんからスラムダンクまで!
青春時代を思い出させてくれるセレクトが最高です。3泊くらいしてじっくり読みたい。

かわいい手書きの注意書きも。注意書きの通りに、毛布をかけたのであったかくして寝ることができました。

朝ごはんには、嬉しいことにゆで卵やヤクルトもセットでついてきます。

宿を出発するときに、宿の方に少しお話をお伺いしました。
創業から5代目でもあるその方は、震災後に東京からいわきに戻ってこられたそうです。旅館の創業は明治初期のようで、100年以上続いているとのこと。

週末は、家族連れや釣りで来る方が多く、平日は港町ということもありお仕事で宿泊される方も多いそう。

また、名刺のデザインは、片付けをしている際に、お客様の鞄につける札をみつけたそう。それの絵柄を元にデザイナーの方にデザインしてもらったそうです。

ちなみに、「廊下にあった漫画コーナーはどなたがセレクトしたものですか?」と聞いてみると。「実は、姉と弟がいてみんなが読み終わったものを置いているんですよ。自分たちで保管していたものだから全ての巻が揃ってない漫画もあって。」と話してくださいました。

昔を大切にしながら、少しずつアップデートしている「新よね旅館」。
これから、このレトロな場所を守りながらアップデートしてくださることを楽しみにしています!

■ 「新よね旅館」について

<<住所>>
〒971-8101 福島県いわき市小名浜字沖見21-1
<<WEB SITE>>
http://www.fukushimaryokan.com/dpunf/iwaki/onahama/shinyone/

茅野 しおりトラベルライター

投稿者プロフィール

IT企業でPRの仕事をしながら、アロマセラピーの勉強をしています。
田舎育ちなので、自然が好きです。

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