東京電力 福島第一原子力発電所

 原子力災害の根源となった場所、東京電力福島第一原子力発電所(以下福島第一原発)は、これまで多くの視点・思想で語られてきました。それは2次情報、つまり伝えられてきたものとも言えます。

 あの日から10年を迎えようとしている今、かつて人が近寄ることを許されない風潮にあった場所は、地域の再建と共に、ごく普通の方が自らの力で知ることが出来ることが可能にもなってきました。

 ここ近年では、東日本大震災・原子力災害から学ぼうとする人たちにとって、ある種の象徴として「知りたい」または「触れてみたい」といった対象になっています。遺産としての扱われ方が始まってきたのかもしれません。

 この投稿では、この場所を語ることよりも、扱いが変わる時代に突入していく中で、かつてブラックボックスとして知ることが出来ない場所として扱われてきた(今もそのイメージは続いているのかもしれません)ものが、どの様な場所で、手法をもって今を知ることが出来るのかについて書きたいと思います。

・1.自宅で気軽に知りたい方向けへ

 自宅にいながらでも福島第一原発を知ることは可能です。東京電力のWebサイト「INSUDE FUKUSHIMA DAIICHI」は、バーチャルで構内ツアーを体験できるものです。携帯でも見れます。今の見た目を知りたいという方に向いています。

・2.事故時の状況と廃炉を知りたい方へ

 資料館のような場所で説明も受けながら作業の内容を知りたいとなれば、おすすめしたいのが、双葉郡富岡町にあります。「東京電力廃炉資料館」です。

 震災以前は、同町にある福島第二原子力発電所のPR館だった場所ですが、現在は展示物・職員からの説明によって、事故当時の状況、廃炉への取組が知れる場所に変わりました。館内の正面には、大型のモニターがありまして、そこでは原発構内の地図で場所を選択し、その場所の様子を見ることが出来ます。

 現在、コロナ禍の影響で1時間限定での予約案内が続いています(本来は予約不要、好きな時間見学できる場所です)

・3.双葉郡に訪れて、福島第一原発を見て考えたいという方へ

  詳しく知るよりも感じてみたいという方もいらっしゃると思います。双葉郡に行けば、どこかで福島第一原発の実物を見れるんじゃないかと。残念ながら福島第一原発は、双葉・大熊町の帰還困難区域の中にありまして、日常ふらりと近くに行くことは出来ません。事前に知っていれば、その姿を垣間見れるそんな場所はあります。

 国道6号を通り大熊町に入ると、車窓から数秒程度ですが福島第一原発を肉眼で捉えることが出来ます。現在、一番近づける場所がこちらになります。目印は煙突です(正しくは排気筒といいますが、分りやすくこちらで)ここまで来ると、原子炉建屋からおそよ2,5kmほどの距離まで近づいた形になります。

 また、浪江町の請戸漁港に行きますと天気が良ければ、遠く南に福島第一原発の煙突群が並んでみることが出来ます。

 どちらも広大な敷地の一部が見れる程度になりますが、大熊町なら帰還困難区域、請戸なら漁業の場所から眺めるということは、世界史的出来事が起きた場所を考えるという意味で価値がある場所だと思います。

 もう少し全体像を眺めてみたいとなれば、双葉郡富岡町から川内村へと続く県道112号の道すがら、ほぼ全域を眺められる場所があります。山から見下ろす形になります。送電鉄塔が並ぶ様には、かつてこの場所から、首都圏に電気を送っていたこともうかがえます。

・研究者向け?実物を近くで見ることも

 福島第一原発に入ってみたいという方もいると思います。個人向けには開放されていませんが、東京電力に見学ではなく「視察」を申し込み(交渉し)、許可が下りれば可能です。視察の窓口は公開されていません。最寄りの東京電力に連絡し交渉しなければなりません。基本的にバーチャルツアー「INSUDE FUKUSHIMA DAIICHI」と同じルートです。

(視察時の写真:発電所構内での処理水の実物の説明)

 年間数万人が訪れており、順番待ちになります。数カ月前から計画を立てることが求められます。

 様々な福島第一原発を視覚的に知れる環境はある程度そろってきました。皆さんの目的にそって、これらが有効に使われたらと思います。

吉川彰浩地元記者

投稿者プロフィール

高校卒業後、福島県浜通りに移り住み、気が付けば20年が過ぎました。10代の頃の「何もない田舎だなぁ」という思いは、暮らしの中で「面白いことがいっぱいあるじゃない!」と変わっていきました。他地域の方々に、そういった暮らしの視点での魅力をお伝えしていきたいと思います。

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